自営業,中小企業,個人事業主,フリーランスが利用できるコロナ対策給付金特集
新型コロナウイルスに罹患された方,多大な影響を受けられた方に心からお見舞い申し上げます。
当法律事務所では,新型コロナウイルスによる営業自粛,休業要請等で大きな経済的損失を受けた事業者の方からのお問い合わせ,ご相談が増えております。
支給要件や申請方法の詳細が定まっていない事項も多いですが,本記事掲載時点で公表されている情報をもとに,中小企業や個人事業主,フリーランスの方が利用できる可能性がある給付金その他補償の制度を整理しましたので,参考にしてください。
詳細が未公表であったり,不正確の情報も多いので,制度の枠組みとして把握しておき,申請要件等の詳細が定まったときに申請できるように準備をしておくという目的の限度でご参照ください。
また,実質無利子の運転資金貸付,緊急つなぎ融資,特例での既存債務のリスケなどは国,各自治体,各機関独自のものが多数設定されており,概要も様々ですが,いつになったら経済活動が正常に戻るか不透明な状況で,貸付制度を利用することには多くの事業者の方が抵抗を感じると予想されますので,貸付制度は除外しています。
本件記事では,返済が不要な給付金の性質があり,自営業,中小企業,個人事業主,フリーランスが利用できる可能性のある制度のみに限定してご紹介します。
公表されている情報に限りがあり,制度の詳細が未定のものもありますので,情報の正確性について担保するものではございませんので,あくまで「未確認・未確定の参考情報」程度にとらえてください。
1 持続化給付金 経済産業省
上限:中小企業200万円 個人事業主100万円
【対象となる事業者】
新型コロナウイルス感染症の影響により,売上が前年同月比で50%以上減少している事業者
資本金10億円以上の大企業を除き,中堅,中小企業,小規模事業者,フリーランスを含む個人事業者を対象となる予定
医療法人,農業法人,NPO法人,社会福祉法人など,会社以外の法人についても幅広く対象とする予定
自営業,中小企業,個人事業主,フリーランスのほとんどが対象となる見込みです。
詳細は決定され次第速やかに公表されるようです。
【支給要件 給付金の計算方法】
給付額は,原則,法人:200万円,個人事業者等:100万円
ただし,前年からの売上の減少分(計算式は以下のとおり)を超えないものとする。
■減少分=(前年の総売上(事業収入))-(前年同月比▲50%月の売上×12か月)
※上記を基本としつつ,昨年創業した方などに合った対応も引き続き検討しています。
※2020年1月から2020年12月のうち,2019年の同月比で売上が50%以上減少した任意の一月について,事業者の方に選択いただきます。
任意の月で昨年比50%以上売上減少があれば支給額はともかく,対象とはなるので,かなり広範な事業者が対象となりうるものと予想されます。
また,明確に前年と本年任意月の「売上」で比較して50%減少すればよいので,経費等による所得(控除前所得)は考慮しなくてよさそうです。
【早く申し込まない予算上限があるのか】
経産省によれば,申請期間と予算額については十分な余裕を確保する予定とのことですが,昨年度との売上比較が要件となりますので,該当月の帳簿等を整理して準備しておくべきでしょう。
【申請の受付開始時期】
申請の受付はまだ開始されていません。補正予算の成立後1週間程度で申請受付を開始する予定のようです。電子申請の場合,申請後,2週間程度で給付することが想定されています。
詳細な申請開始の日時,申請期間などについては決定され次第速やかに中小企業庁ホームページで公表されます。
【申請の方法】
迅速に給付を行うため,電子申請が用いられる予定です。ただし,必要に応じ,感染症対策を講じた上で,完全予約制の申請支援(必要情報の入力等)を行う窓口を順次設置されます。※申請にあたり,GビズIDを取得する必要はありません。
【その他詳細】
※その他,申請に必要な事項の詳細等については,4月最終週を目途に確定・公表
2 東京都 感染拡大防止協力金
1店舗のみを運営する事業者は50万円,2店舗以上の場合は100万円
【対象事業者】
東京都に所在する休業要請等の対象となった事業者限定
東京都の休業要請等に応じた企業に協力金を給付する。
対象業種:キャバレー,ナイトクラブ,漫画喫茶,カラオケ,パチンコ,スポーツクラブなど
【給付要件】
東京都に所在する事業者
東京都の休業要請等に応じた事業者
【宅配サービスやテークアウトなどに取り組む飲食業者】
東京都によれば,宅配サービスやテークアウトなどに取り組む飲食業者にも助成金を支給することを検討中
感染拡大防止協力金とは別制度になるのか,詳細な要件は未定
3 特別定額給付金(仮称) 総務省
減収世帯限定の30万円給付金は,国民全員一律10万円支給の特別定額給付金に変更となりました。
【給付対象者及び受給権者】
給付対象者は,基準日(令和2年4月27日)において,住民基本台帳に記録されている者
受給権者は,その者の属する世帯の世帯主
【給付額】
給付対象者1人につき10万円
【給付金の申請及び給付の方法】
申請は次の(1)及び(2)を基本とし,給付は,原則として申請者の本人名義の銀行口座への振込みにより行う。
やむを得ない場合に限り,窓口における申請及び給付を認める。その際,受付窓口の分散や消毒薬の配置といった感染拡大防止策の徹底を図る。
(1)郵送申請方式
市区町村から受給権者宛てに郵送された申請書に振込先口座を記入し,振込先口座の確認書類と本人確認書類の写しとともに市区町村に郵送
(2)オンライン申請方式(マイナンバーカード所持者が利用可能)
マイナポータルから振込先口座を入力した上で,振込先口座の確認書類をアップロードし,電子申請(電子署名により本人確認を実施し,本人確認書類は不要)
4 雇用調整助成金の拡充 厚生労働省
休業手当の補填
雇用調整助成金とは,景気の悪化等で従業員を一時的に休ませる企業に休業手当の一部を補助する制度です。労働基準法では,賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないとされています。雇用調整助成金は,その休業手当の一部を補填する制度。
緊急対応期間については,雇用保険の対象でない労働者も対象になり,助成率(中小)2/3⇒4/5(解雇等を行わない場合9/10)に拡充されています。(ただし,助成額単価8,330円が上限)
5 持続化給付金・東京都感染拡大防止協力金・特別定額給付金の併用
自営業,中小企業,個人事業主,フリーランスの方が利用できる可能性がある持続化給付金(上限:中小企業200万円 個人事業主100万円),東京都の感染拡大防止協力金(1店舗事業者50万円,2店舗以上事業者100万円 ),特別定額給付金(1人あたり10万円)は併用でききます。
個人事業主,フリーランスらの持続化給付金100万円と東京都感染拡大防止協力金50万円,雇用調整助成金の3つは,もともと制度趣旨が事業者に対する支援であることから,いずれも要件をみたせば併用できます。
もともと予定されていた減収世帯限定対象の30万円が併用できるかは政策判断次第で不明な部分が残っていましたが,減収世帯限定の30万円給付金制度は,国民全員への所得制限なしの一律10万円給付の特別定額給付金制度に変更となりましたので,全て併用できる見込みとなりました。