海外駐在員・駐在家族の離婚手続
海外駐在の駐在員,駐在家族の離婚について
星野・長塚・木川法律事務所では,北京,上海,広州,杭州,蘇州,大連,瀋陽,台湾,香港をはじめとする中国各地に駐在中の駐在員の方,駐在員家族からの離婚,家事事件の相談を取り扱っております。
中国語対応も可能です。
海外駐在の離婚手続 Q&A
Q 海外駐在中の協議離婚の手続
海外駐在の日本人同士であっても,国内居住のときと同様,夫婦双方が同意すれば,協議離婚をすることができます。
この場合,お子さんがいれば親権の帰属,面会交流の取決め,財産分与の取決め等を合意し,大使館,領事館または本籍地役場に離婚届で届け出ることで,離婚が成立します。
基本的な手続は日本と変わりません。
Q 調停,審判,裁判離婚の手続
海外駐在中に裁判手続を通じて離婚をすることもできます。
国際離婚においては,裁判手続は現地法によることになります。したがって,離婚地の手続法(駐在地の離婚裁判の手続法)に従った離婚も有効です。
具体的には,駐在地の裁判所を介し,調停離婚,審判離婚,裁判離婚が成立した場合,これらの裁判を経由した離婚手続も有効です。
ただし,離婚の場合,裁判離婚であっても事後的な報告的届出が必要ですので,別途,大使館,本籍地役場等へ離婚が成立したことの届出も忘れないように注意してください。
Q 離婚の成立,離婚の効力の準拠法 海外駐在の日本人同士の場合
離婚原因の有無といった離婚の成否,及び離婚の効力(離婚により生じる法的な変更)は,たとえ海外駐在中であっても,日本国内での離婚と同様,日本民法が準拠法となります。
これは,協議離婚をする場合だけではなく,駐在先の裁判所で離婚を請求する場合も同じです。
すなわち,駐在先の裁判所で離婚手続を進める場合,裁判や調停の手続事項は法廷法によるとの国際私法の原則に従い駐在地の訴訟手続法により審理が進められますが,離婚原因の有無といった離婚の成否,及び離婚の効力などの実体的な権利義務は,基本的には現地の裁判所が日本民法(家族法)を適用して判断することになります。
このことがどういう影響をもたらすかというと,例えば,諸外国では,2年や3年など一定期間の別居という客観的事実だけをもって,法律上の離婚原因と規定している国(中国本土等)がありますが,たとえ駐在先離婚法にそのような規定があっても,駐在中の日本人同士の離婚では,原則として適用とならず,あくまで日本民法の規定に従い法律上の離婚事由の有無が判断されることになります。
Q 海外駐在の日本人同士の調停
家事調停は,当事者の合意管轄が認められており,日本の家庭裁判所で通常の離婚調停を行うことも可能です。
ただし,弁護士を代理人として選任した場合であっても調停の性質上,本人の出頭も求められるのが原則です。
したがって,海外駐在が終わっておらず,高頻度の帰国が難しい場合は,日本の家庭裁判所での離婚調停は事実上,難しいことが多いでしょう。
Q 海外駐在中の配偶者の浮気
海外駐在中も日本人夫婦の婚姻関係は,日本民法の規定に従いますので,夫婦の貞操義務は国内居住の場合と何ら変わりません。
海外駐在中だからといって,不貞行為が免責されるということはありえません。
相手方配偶者が不貞行為をした場合,他方配偶者に対し不法行為責任を負い,慰謝料の支払義務が生じます。
Q 海外駐在中の配偶者の不貞行為の責任
海外駐在中であっても,浮気などの不貞行為があれば,他方配偶者に対し,不法行為に基づく慰謝料支払義務が生じます。
配偶者の浮気が原因で最終的に離婚に至った場合,離婚後に慰謝料請求をすることも可能です。
夫婦双方が海外駐在中の場合,日本の裁判所で裁判係属することは,裁判管轄の問題からいっても物理的にも難しい側面がありますが,どちらか一方が帰国した状態であれば,日本の裁判所で問題なく不貞行為の責任追及の裁判を提訴することができます。
双方が現地駐在中の場合,現地の裁判所で訴訟をすることも可能ですが,駐在地の弁護士を代理人に選任する必要があること,手続の公平が担保されないおそれがあるといった問題もあります。
裁判管轄の問題がクリアでき,またはいずれか一方がすでに帰国済みであれば,離婚訴訟も不貞行為の責任を問う訴訟も,日本の裁判所で問題なく提起てきます。
Q 駐在先での配偶者の浮気相手への訴訟
海外駐在中も日本人夫婦の婚姻関係は,日本民法の規定に従いますので,夫婦の貞操義務は国内居住の場合と何ら変わりません。
海外駐在中の配偶者が駐在地で浮気をした場合,その相手が日本人であっても,駐在地の外国人であっても,他方配偶者は,浮気をした駐在中の配偶者に対し,不貞行為に基づく法的責任を問うことができます。
なお,駐在に同行せず日本に残した配偶者が日本国内で浮気した場合も同様です。
このような場合,浮気をされた配偶者は,浮気をした配偶者だけではなく,不貞行為の相手方に対しても,不貞行為に基づく法的責任を問うことができます。
不法行為に基づく訴訟となりますから,基本的には,相手方または自己が国内に居住していれば,日本の裁判所で裁判が可能です。
他方,浮気相手の外国人が配偶者の駐在先に居住している場合には,氏名,住所,資産の特定が困難となるケースがかなりあります。
そのようなケースでは,事前の調査を十分に行う必要があります。
また,配偶者が駐在先で別の日本人と不貞関係となるケースもあります。
この場合も法的な責任自体は,相手が外国人の場合と変わりませんが,責任追及のための氏名,住所,資産の特定にあたっては,外国人の場合よりも容易となることがあります。
駐在中の駐在員の方の離婚相談,浮気に伴う責任追及は,国内居住の場合と比較し,特殊な問題が多くあります。
【星野・長塚・木川法律事務所へのご相談】
当事務所では,海外駐在中の駐在員の方の離婚相談や浮気相手の外国人に対する訴訟も取り扱っています。特に,中国本土,上海,北京,広州,香港,台湾といった地域からのご相談については,中国語対応も可能です。
お住まいの地域で国際離婚の取扱いをする弁護士,法律事務所が見つからなかった方や海外駐在中の駐在員の方,駐在家族の方からのご相談を受け付けております。
国際離婚等の法律問題は当事務所の東京事務所宛(日本の国番号+81‐(0)3-6205-7705)にお問い合わせ下さい。
※なお,当事務所ではお電話での「無料法律相談」は実施しておりませんので,まず,お電話またはメールにて東京事務所宛にお問い合わせいただき,現在の状況について簡単に事情をお聞かせ下さい。
その後,正式にご依頼いただいてから,電話またはメールによる継続相談をお受けする流れとなります。
裁判手続までは不要な場合でも,継続的な電話相談,メール相談のご依頼という形も可能です。詳細はお電話の際にお問い合わせ下さい。